EC運営 / 体制・業務改善

EC運営代行にどこまで任せる?
外注できる業務と社内に残す判断

公開日: / 更新日:

EC運営。どこまで外注し、何を社内に残すべきか。判断・作業・確認の分担を決める。ノートPCとチェック表を受け渡す手のイラスト。

商品登録やページ制作、広告の設定・調整は、範囲を決めて外注できます。一方、販売方針や予算、価格をどこまで任せるかは、社内の判断役と承認の条件を決めておきます。

商品登録や画像の差し替えに追われ、売上を見直す時間が取れない。外注したいけれど、結局こちらの指示が増えるだけではないか。少人数でECを担当していると、任せる範囲を決める段階で迷うことがあります。

考えたいのは、誰が作業するかに加えて、誰が決め、誰が確認するかです。販売価格や商品の訴求まで毎回社内で相談し直す状態なら、作業だけ外へ出しても進みにくくなります。

ここでは、メーカーのEC担当者が一部の運用を外注する場面を想定して、業務の分け方、時間の見積もり、引き継ぎ時に決めたいことを説明します。

この記事の内容
  1. 社内に残したいのは、販売方針を決める役割
  2. 「商品登録を任せる」を、もう一段細かくする
  3. 外注費と一緒に、依頼・確認にかかる時間も見る
  4. 承認の条件と、引き継げるデータを決める
  5. 最初は、一つの商品群で流れを確かめる

社内に残したいのは、販売方針を決める役割

どの商品を伸ばすのか。値引きしても、いくら残したいのか。在庫を消化したいのか、価格を守って長く売りたいのか。こうした前提が違えば、選ぶ施策も変わります。

外注先に分析や改善案を依頼することはできます。ただ、その案を採用するか判断するには、原価、供給できる数量、他の販路との関係など、自社の事情を伝える必要があります。提案を受ける窓口と、最終的に決める人を社内で決めておくと、確認の行き来を減らせます。兼任でも構いません。

一方、決めた内容を商品ページへ反映する、データを集計する、画像を制作するといった仕事は、手順や完成の条件を共有して任せる方法があります。社内に専門担当者がいない広告運用や分析も、予算・目標・変更できる範囲を合意したうえで依頼できます。

すべての操作を社内承認にする必要もありません。例えば、承認済みの商品情報に合わせた誤字修正は任せ、価格やセット内容の変更は確認する。日常の作業と販売条件を変える判断で、任せる範囲を分けます。

「商品登録を任せる」を、もう一段細かくする

「商品登録をお願いします」だけでは、仕様を調べるところからなのか、用意した情報を入力するだけなのかが伝わりません。画像の準備や公開後の確認まで含むかによって、見積もりも変わります。

一つの仕事を、情報の準備、制作・設定、承認に分けてみます。次の表は、商品情報を社内で管理しているメーカーを想定した分担例です。

メーカーが一部のEC運用を委託する場合の分担例
業務社内で用意・判断すること外注先に依頼すること
商品登録仕様・原価・販売価格・在庫の情報。公開の承認。不足情報の洗い出し、登録データの作成・入力、表示確認。
商品ページ改善商品の強みと根拠資料。表現・販売条件の確認。競合や売り場の調査、構成案、画像・説明文の制作、反映。
広告運用予算上限、目標、優先商品。大きな方針変更の承認。配信案、設定、合意した範囲での調整、結果と次の案の報告。
在庫・値引き供給・入荷予定、値下げの下限、他販路との調整。欠品・滞留の一覧化、対応案、承認後の設定変更。

表の左右は固定ではありません。社内で画像を作れるなら登録作業だけ任せてもよく、分析まで手が回らなければ改善案から依頼してもよいでしょう。どちらが得意かだけでなく、相手が作業を始められる情報を、いつ渡せるかも確認します。

外注費と一緒に、依頼・確認にかかる時間も見る

月40時間かかっている仕事を外注しても、その40時間がすべて空くとは限りません。素材を渡す、質問に答える、完成物を確認する、といった社内の仕事が残るためです。

例えば、外注する作業に使っていた時間が月40時間で、外注後の依頼準備に4時間、確認に6時間、修正指示に2時間かかるとします。この仮例では、残る社内工数は12時間、差し引きで空く時間は28時間です。

説明用の仮例。対象業務の社内工数は外注前に月40時間。外注後は依頼準備4時間、確認6時間、修正指示2時間の計12時間が残り、差し引き28時間が空く計算。外注先の作業時間は含まない。
対象業務に限った、定常運用時の説明用の仮例。会社全体の工数や実際の削減実績ではありません。初回の引き継ぎ時間は別に見積もります。

費用を比較する際は、外注費+残る社内工数の人件費+追加のツール費等を、同じ業務範囲の内製コストと比べます。外注側がどこまで調査・制作・修正を行うか、追加料金が発生する条件もそろえてください。

ただし、空いた28時間がそのまま現金の支出削減になるわけではありません。担当者が商品企画や主力商品の改善に使うなら、何に時間を振り向けるかも決めておきます。外注の目的が作業品質や専門性の補完なら、時間短縮だけで評価しないことも必要です。

社内確認に時間がかかり続ける場合は、委託先を増やす前に、依頼資料の不足、判断する人の不在、完成の認識違いがないかを見直します。

承認の条件と、引き継げるデータを決める

担当を割り当てたら、日々の受け渡し方を決めます。例えば、新商品のページ制作なら、次のように具体化できます。

  • 開始に必要なもの:確定した商品仕様、販売条件、画像素材、参考資料をまとめる。不足したまま進めてよい範囲も確認する。
  • 承認する人と期限:誰が何を確認し、いつまでに返すか。回答がない場合は勝手に公開せず、連絡先と日程の見直し方を決める。
  • 完了の条件:原稿納品、管理画面への登録、公開後の表示確認のうち、どこまでが対象かをそろえる。
  • 例外時の対応:価格の誤りや欠品が見つかった際の連絡先と、緊急時に変更・停止できる範囲を決める。

あわせて、画像の編集データ、登録用ファイル、元データ、変更履歴をどこに保管するかも確認します。広告や分析のアカウントは、自社が管理を継続できる状態にしておくと、担当交代や内製への切り替えを進めやすくなります。権限は担当業務に必要な範囲で渡します。

引き継ぎ資料は、操作手順だけでは足りません。「この価格にした理由」「この検索語を除外した理由」といった判断の背景も、結果と一緒に残します。後で同じ話を一から説明せずに済む形にしておきます。

最初は、一つの商品群で流れを確かめる

依頼範囲がまだ曖昧なら、対象を絞って始める方法があります。例えば、一つの商品群の登録・更新から始め、必要資料を渡してから完了まで、どこで待ち時間や差し戻しが発生するかを確かめます。

振り返るのは、作業が終わったかだけではありません。社内に残った時間、確認の往復、誤りや再修正、納期への影響も見ます。短い期間の試行で、売上への効果まで判断できるとは限らないため、体制が回ったかと販売成果は分けて考えます。

社内で判断する人や資料を用意できない場合は、登録・制作をまとめて出すより、業務の棚卸しと分担を決める支援から入るほうが進めやすいこともあります。反対に、少量の更新を社内で無理なく回せているなら、日常運用はそのままに、専門的な作業だけ依頼する選択もあります。

← 記事一覧へ戻る