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ノウハウ/EC運営の実務

ECの月次レポートで、売上以外に確認したい数字

月次レポートを次の作業につなげる。売上・広告・在庫を照合する。
シリーズバナー:AI生成。実際のレポート画面ではありません。

売上は先月より増えた。広告も動いている。それでも、翌月に何をするかが決まらない。月次レポートを作るときに困るのは、数字が足りないことより、数字の変化と次の作業がつながっていないことかもしれません。

この記事では、店舗全体の売上、広告、商品ごとの採算、在庫をどう照合するかを考えます。指標の一覧を増やすのではなく、確認する商品と作業を一つ決めるための見方です。数値例はすべて説明用の仮例で、当社やクライアントの実績ではありません。

この記事の内容
  1. 同じ月でも、同じ条件の数字とは限らない
  2. 売上・広告・残額・在庫を、役割ごとに見る
  3. 仮の月次表を、どこから読むか
  4. 追加で確かめることから、作業を一つ選ぶ
  5. レポートの最後に、担当と確認日を残す
  6. 出典と確認した範囲

同じ月でも、同じ条件の数字とは限らない

比較の前に、対象の店舗、商品、期間、取得日をそろえます。売上に値引きや返品をどう反映したか、税込・税抜のどちらか、注文日と出荷日のどちらでまとめたかも、使った資料に合わせて書き残します。異なる条件を無理にそろえるのではなく、そろわない部分を見えるようにすることが大切です。

特に広告の売上には、広告への接触をもとに、その後の購入を広告に関連づける集計があります。Amazon Adsの公式説明では、広告レポートの売上は広告に接触した日で報告され、実際の購入日と異なる場合があるとされています。対象商品や集計期間などの条件も、キャンペーンの種類で異なります。[1]

そのため、店舗の売上と広告レポートの売上は、同じ月を指定しても一致するとは限りません。広告の売上を店舗売上へ足すと、重複して数えるおそれがあります。差額をそのまま「広告以外の売上」と断定することも避けます。

広告の購入集計には後から反映される分もあるため、取得日を残し、必要なら同じ条件で取り直します。何日後に確定するかは、利用する広告・指標の現在の説明で確認してください。すべての広告に一律の日数を当てはめないことです。[1]

売上・広告・残額・在庫を、役割ごとに見る

店舗全体の売上は規模の変化を見る数字です。広告費と広告に関連づけられた売上は、広告の費用対効果を確認する材料になります。Amazon Adsでは、ROASは広告の売上を広告費で割り、ACOSは広告費を広告の売上で割って百分率にする指標として説明されています。[2]

同じ対象・期間の広告売上が18万円、広告費が6万円なら、ROASは3倍、ACOSは約33.3%です。分母が0の場合は同じ割り算ができないので、空欄を0%や0倍と置き換えず、未算出として理由を残します。月間のROASも、日ごとの値を単純平均するのではなく、同じ範囲の広告売上合計を広告費合計で割ります。

ただし、ROASだけでは商品の原価、配送やモールの手数料、返品の影響までは分かりません。管理用の売上から、把握した商品原価・変動費・広告費を引いた残額も別に置きます。何を引いたかを明記し、会計上の利益や実際の入金額と混同しないようにします。

在庫は、月末の合計金額だけでなく、次に売りたい商品の販売可能数と補充予定を見るために使います。売上を伸ばす案があっても、その商品を売れる状態で確保できるかは別の確認だからです。

仮の月次表を、どこから読むか

次の表は、小さな架空の店舗を想定した説明用です。金額は税抜。管理用売上は、月内の注文から同じ月に把握した値引き・返金を差し引くという、この例だけの管理ルールにしています。原価・変動費はその売上に対応する商品原価、モール手数料、配送関連費をまとめたものです。固定費・人件費などは含みません。各モールの標準レポートの定義を表すものではありません。

説明用の仮例|実績ではありません
確認する数字9月10月
管理用売上30万円36万円
商品原価・変動費18万円23万円
広告費3万円6万円
上記費用を引いた残額9万円7万円
広告レポートの売上※12万円18万円
ROAS※4倍3倍
主力SKU Aの月末販売可能在庫180個60個

※広告は同じキャンペーン集合・同じ集計条件を使った仮例。広告レポートの売上は管理用売上に加算しません。取得日は両月とも2026年11月6日と仮定しています。在庫は各月末時点の記録です。残額は「管理用売上-商品原価・変動費-広告費」で計算し、固定費控除前です。

売上は6万円増え、広告レポートの売上も増えています。一方、把握した費用を引いた残額は2万円減りました。この表からいえるのは、集計した範囲でその変化があった、ということです。「広告が原因で利益が減った」「値上げすべき」とまでは分かりません。

販売商品の構成、原価や配送費、値引き、返金の変化を確認する余地があります。SKU Aの在庫が減った理由も、売れたためなのか、補充が遅れたのかは、この表だけでは決まりません。全体の数字は、原因を断定するためではなく、次に開く資料を選ぶ入口にします。

追加で確かめることから、作業を一つ選ぶ

この仮例なら、最初の作業を「残額が減った商品の内訳を確認する」にできます。商品別に管理用売上と把握済み費用を並べ、減少に寄与した商品を絞る。広告費を商品別に配分できていなければ、無理に割り振った数値を確定値にせず、未配分分を別に残します。

そこでSKU Aが確認対象になったら、販売可能在庫と補充予定も照合します。補充前に販売できなくなる可能性があれば、販促の変更を決める前に供給条件を確かめます。この段階で初めて、商品別の追加調査や対策候補が具体的になります。

見えた変化は、売上が増えた一方で費用を引いた残額が減ったこと。原因はまだ分からない。次の作業として商品別の売上・費用を照合し、対象商品の在庫と補充も確認する。
当社制作の説明図。実績や原因を示す図ではありません。

図の流れは当社が提案する整理方法です。特定の数値を超えれば自動的に広告を止める、といった一律の基準ではありません。季節性、セール、欠品、商品の入れ替えがあれば、前月だけでなく前年の同じ時期なども見ながら、比較する理由を記します。

レポートの最後に、担当と確認日を残す

「採算を改善する」だけでは、次の月も同じ報告になりがちです。たとえば仮の作業記録なら、「商品別の売上と費用を担当Aが照合し、11月10日の確認で残額の減少が大きい商品と未計上費用を共有する」と書きます。日付や担当は説明例であり、実際の予定ではありません。

次回見るものも決めます。この例では、照合した商品別の残額と未配分費用、SKU Aの販売可能数・補充予定です。施策を実行した場合は、変更日、変更内容、同時に変えた条件を残します。翌月の増減を一つの施策の成果とすぐに決めないためです。

月次レポートには、前回決めた作業が実施できたかを確認する欄もあると役立ちます。未実施なら理由を残し、未確認の数字は未確認のまま共有する。数字をそろえるところから、次に確かめる一件を選ぶところまでを、同じ報告の中につなげていきます。

出典と確認した範囲

[1]Amazon Adsサポートセンター「広告キャンペーンのアトリビューション」
https://advertising-japan.amazon.com/help/GX7KDKHMWQYMJ385
2026年11月6日、Chromeで本文を確認。ページ更新日表示は2026年10月20日。広告接触日での集計、対象・期間の相違、リテール売上との差の説明を参照。特定アカウントの数値や設定を調べたものではありません。

[2]Amazon Ads「広告費売上高比率(ACOS)とは?」
https://advertising.amazon.com/ja-jp/library/guides/acos-advertising-cost-of-sales
2026年11月6日確認。ACOS・ROASの計算定義を参照。

表・図は当社制作の説明例です。特定企業の実績や施策の検証結果は掲載していません。掲載した情報は調査時点のものです。